琵琶湖からハス消えた 国内最大級群生地で異常事態

国内最大級のハス群生地として知られる滋賀県草津市・烏丸(からすま)半島の琵琶湖岸で、例年なら湖面を埋め尽くしているハスの葉が全く見られない異常事態が起きている。原因は不明で、観光客を集めていた「ハスクルージング」もキャンセル客が続発。業者は人気の高まりを見越して船を増やしただけに、ハスの葉がない“ハスロス”に、頭を抱えている。

◆ギブアップ宣言

烏丸半島周辺のハス群生地は、甲子園球場のグラウンド面積の10倍、約13ヘクタールの広さを誇る。本来なら6月下旬には一面緑色に覆われて、ピンクの花が咲き始めるが、今年は水面にほとんど葉が見られず、草津市が「生育、開花の兆しが見込めない」と“ギブアップ宣言”するほど。同市公園緑地課の担当者も「20年以上も観察し続けているが、経験したことがない」と嘆く。

烏丸半島にあり、琵琶湖の生態系などを研究している滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)の芦谷美奈子・主任学芸員(水生植物生態学)も「主な原因は分からない」と話し、現時点では原因不明のままだ。

◆クルーズ大打撃

異常事態の直撃を受けたのは、約15年前から続けられ、観光客に人気の「ハスクルージング」。ハスの葉で埋め尽くされた湖面に船で入っていくユニークな取り組みで、県内外から年間千人を超す観光客が訪れていた。

しかし今年はハスが見られないことからキャンセルが相次ぎ、観光客は100人にも満たない見通しだ。クルーズを運航する任意団体「ノース・ウィンド・ジェネレイト・クラブ」(草津市)代表の畑源(はたはじめ)さん(49)は「バスツアー客などの増加を見込んで、今年は約300万円を投資して12人乗りの船4隻を新たに用意したのに…」と嘆く。

◆食害?生育悪化?

ハスに詳しい九州大大学院農学研究院の尾崎行生准教授(園芸学)は、「烏丸半島の状況を調べないと断定できない」と前置きした上で「ミドリガメが葉を食べる食害」説を挙げる。尾崎准教授によると、福岡城(福岡市)の堀でも数年前からハスが減少。ミドリガメの侵入防止柵を設ける実験をしたところ、防止柵の内側だけでハスが生えたという。

一方、芦谷主任学芸員は、より深刻な「ハスの成長力低下」説の可能性も挙げる。ハス群生地はこれまで手入れがほとんどされておらず、湖底の泥の中に腐った葉が堆積したり、地下茎が繁殖し過ぎたりすることによってハスの生育状況が悪くなった可能性が考えられるという。十数年前に、周辺のヨシの生育状況が悪くなったときは、同じ原因だったことが確認されたという。

何とか原因を探ろうと、草津市は滋賀県と連携して今月中に水や湖底の泥などのサンプル調査を実施する予定だという。畑さんは「今年はもうハスは見られないだろうが、来年以降、何とか再生してほしい」と話している。

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